動物再生医療について

再生医療(細胞治療)とは


再生医療とは細胞や組織を補充することにより、疾患によって機能不全となった部分の自己修復力を引き出して、機能回復を図る治療法です。

再生医療に用いられる細胞に「幹細胞」があります。幹細胞には、胚性幹細胞(E S細胞:受精卵の細胞から培養、多分化能を持つ細胞)、人工多能性幹細胞(i P S細胞:体細胞にリプログラミング遺伝子を導入して、多分可能を付与した細胞)、組織幹細胞(M S C、間葉系幹細胞:骨髄、脂肪、心筋、臍帯、歯髄などから培養、骨、軟骨、心筋、脂肪などに分化能を持つ細胞)の3種類があります。

幹細胞治療を実施するには、幹細胞に対する知識と科学的根拠の理解が必要です。新しい、効果的な幹細胞治療を標榜することで、治療の透明性と見通し、患者さんの保護という観点を損なうことがないようにしなければなりません。 そのためには、病気の確定診断ができていること、治療効果と安全性が担保できていること、既存の治療法との効果の比較検討ができていること、さらに、飼い主さんのご理解、ご納得いただける正確な説明が重要です。

再生医療は従来の治療と異なる手法の、新しい概念の治療法なので、今まで治療できなかった疾患に対して有効な手段となる可能性があります。


再生医療の種類

幹細胞を利用した再生医療


動物の身体には損傷したり調子が悪くなった時に、修復しようとする働きが備わっています。 再生医療では、損傷を受けた部分に集中的に働きかけて自らの修復能力を高めることで機能回復を目指します。

食事や運動、静養をすることでは叶わなかった機能回復を、自分の細胞から調整した幹細胞(自家細胞)あるいはドナー由来の細胞から調整した幹細胞(他家細胞)の力で、炎症を鎮め、免疫の働きを調節し、損傷した細胞に栄養を送り、さらに損傷部位に必要な自らの細胞を動員することで、損傷の修復効果を増強します。

PRP(多血小板血漿)療法


怪我で出血した時にカサブタができて傷が治って行きますが、打撲による内出血でも出血が止まり、元通りに治っていきます。このように出血が止まって損傷が治癒するのは、血液中に含まれる血小板から、傷んだ組織を修復する物質(成長因子)が損傷部位に供給されることで、自ら傷を治そうとする自然治癒の過程が動き出すからです。P R P療法は、血液中から濃縮した血小板を取り出し、損傷部位に注入することで自然治癒力を増強する治療法です。

動物では競走馬における腱の損傷の治療にも導入が検討されています。

厳厳しい審査により保たれる高い安全性

平成26年11月に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と併せて、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」を施行し、再生医療等の安全性の確保に関する手続きや細胞培養加工の外部委託のルール等を定めました。

幹細胞を用いる再生医療は、厚生労働省が認めた特定認定再生医療等委員会でその治療の妥当性・安全性・医師体制・細胞加工管理体制が厳しく審査されます。

動物再生医療


人医療において有用な治療法と考えられる再生医療は、犬・猫に対しても既存の治療法で完治できなかった疾病の治療の可能性が有望視されており、健康維持ならびに疾病の治療に導入され始めています。

特に、治療期間の短縮、生活の質(Q O L)の向上ができることは、動物に寄り添う治療を行う上で、とても有意義です。

幹細胞を用いた治療には、患者さんである動物に全身麻酔をかけて組織を採取し、人工的に培養調整して、本人の体に点滴投与・局所注入する自家移植治療が一般的でしたが、健康な犬・猫から組織を採取して培養し、凍結保存しておいた細胞を病気の動物に投与する他家細胞治療も始まりました。

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